
妊娠すると体の中で大きな変化が起こります。胎児を育てるために血が子宮の方へ多く使われ、子宮以外の場所では不足しがちになるのです。子宮が温まるため、元々は冷えが気になる方が妊娠中は温かく過ごせたり、逆に元々熱が体にこもっているタイプの人は、それが増幅され過ぎて体調がくずれるかもしれません。
どちらにしても戸惑うほどの変化ですが、はっきり言えることが一つあります。それは、つわりは、月経などと同様に生理現象であり病気ではないということです。
つわりにもいくつかの種類があって、空腹時に吐き気がする、だるくて眠くなる、臭いに敏感になる(たばこ、排気ガスなど)、お通じが滞ると吐き気がする、イライラする等様々で、その症状の軽重も、個人差があります。個人レベルでも、妊娠の度につわりの重さが変わるという話も多く聞きます。
つわりの原因はいろいろ言われていますが、西洋医学的にはまだ解明されていないところが多いのが現状です。
つわりは生理現象ですが、ただしこのようなレベルになったら「妊娠悪阻(にんしんおそ)」という名前がつくれっきとした病気として扱われます。
中医学的にみた妊婦さんの食生活の基本は、“脾”と“腎”を補うことです。補うというのは、不足しがちな機能に「てこ入れ」をするというような意味です。 “脾”とは、食べたものを消化吸収して身体を養う機能のこと。“腎”とは、持って生まれた元気を保存し、子孫を残していく力のことです。腎を補うことで胎児が安定し、脾を補うことで不足しがちな気血を作りだすことができ、腎に貯金されている、「精(生殖や成長に必要なエッセンスのようなもの)」を補充することができます。消化の良い物を五味(すっぱい・苦い・甘い・辛い・塩からい)五色(赤・青・黄・白・黒)を考えて、バランス良く食べるのが理想です。
とはいえ、つわりがひどくて、特定の物しか食べられなくなる場合もあります。その時は無理をせず、食べられる物を食べられるときに少しずつでも食べておくことが大切です。また、レモン、シソ、ブドウ、などはつわりの時でも食べやすく、中医学では胎児を安定させると言われている食べ物です。また、ショウガや、梅干し、大根などは吐き気を抑える働きがあります。ちょっとお腹が空いたときにこうした物を食事に取り入れて食べると良いでしょう。空腹時に吐き気がする人が多いので、小さく作ったおにぎりなどを持ち歩くと安心です。